3月3日終値前日比騰落率
ダウ工業株30種平均3万3794.66↓96.69↓0.29%
ナスダック総合指数1万3537.94↓214.07↓1.56%
S&P500種指数4363.49↓23.05↓0.53%
英バイオ医薬ニューカナが大幅安 胆道がん治療薬の治験中止で
配車サービスのグラブHD 大商いの末大幅安 決算嫌気され
BPとエクイノール 米NY洋上風力発電所向け集積基地の開発で合意
フィンテックのソーファイ 金融クラウドソフト開発のテクニシス買収を完了
航空宇宙・防衛技術マーキュリー 戦闘機用多機能ディスプレイモジュールを受注
モトローラ・ソリューションズ、英ビデオ画像セキュリティ企業を買収
ベライゾン、各種ストリーミングサービスの一括管理サービスを発表
ノボ・ノルディスク 体重管理薬の売り上げ見通しを大幅引き上げ
バイオジェン アルツハイマー薬開発部門で人員整理
☆英バイオ医薬ニューカナが大幅安 胆道がん治療薬の治験中止で

 英バイオ医薬品企業ニューカナ(NASDAQ:NCNA)は3日、胆道がんに対する治療に同社が開発したプロチド製剤アセラリン(Acelarin)を使用して評価する第3相臨床試験の中止を発表した。

 この発表を受けてニューカナの株価は大きく下げた。3日終値は前日比59.18%安の1.20ドル

 この臨床試験は、進行性胆道がんへのシスプラチンとゲムシタビンを併用する標準治療の化学療法に対して、シスプラチンとアセラリンの併用を比較評価するもので、中止は治験薬剤の効果や安全性を評価する独立データモニタリング委員会(IDMC)が行った分析に基づいた判断だとしている。アセラリンの客観的奏効率は高いものの、標準治療と比較して総生存期間を2.2カ月以上改善させるという主要評価項目を達成する見込みがないとIDMCが判断した。ただし、この試験的療法の忍容性は良好だったと述べている。

 ニューカナのヒュー・グリフィス最高経営責任者(CEO)は、今年はこの他のプロチド製剤候補「NUC-3373」や「NUC-7738」からの開発成果を待つとしている。

 ☆配車サービスのグラブHD 大商いの末大幅安 決算嫌気され

 シンガポールの配車サービス大手グラブ・ホールディングス(NASDAQ:GRAB)の株価が3日、出来高を伴って大きく下げた。この日の取引開始前に発表された2021年10-12月期(第4四半期)決算が嫌気された。

 3日終値は前日比37.28%安の3.28ドル。出来高は1億1603万株と65日平均の2457万株を大幅に上回る大商いだった。

 決算発表によると、取引総額(GMV)は前年同期比26%増の45億ドル(デリバリー事業が52%増となったが、配車事業は11%減)。同社のサービス利用は増えたが、コロナ禍後の需要回復期待からドライバーの確保に向けて報奨金を増やしたため、利益が予想外に44%減の1億2200万ドルに落ち込んだ。また、調整済みEBITDA(金利・税・償却前利益)は、損失が1億200万ドルから3億500万ドルに急拡大した。

 22年1-3月期の見通しもさえず、GMVは31億5000万ドル~33億ドルを予想している。1-3月期は例年売り上げが低い時期ではあるが、21年10-12月期の45億ドルを大きく下回る見通しだ。同社が中核に据える食品デリバリー事業の収支がEBITDAベースで均衡するのは、23年上半期の目標だとしている。

☆BPとエクイノール 米NY洋上風力発電所向け集積基地の開発で合意

 英石油大手BP(NYSE:BP)とノルウェーの同業エクイノール(NYSE:EQNR)は3日、米ニューヨーク州サウスブルックリン・マリンターミナル(SBMT)の施設を洋上風力発電所の大規模集積基地として再開発する計画について合意したと発表した。

 両社が共同出資するニューヨーク州沖の洋上風力発電施設「エンパイア・ウインド」と「ビーコン・ウインド」の機材集積と組み立てを行う「世界有数の」基盤施設に転換する。

 この合意にはSBMTを運営するサスティナブルSBMTとニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC)も共同署名しており、BPとエクイノールはこの計画に2億ドル~2億5000万ドルを投じてSBMTに風力発電所の運転・保守施設と機材集積地を建設し、低公害施設としての開発も進める。

 エンパイア・ウインドとビーコン・ウインドのプロジェクトは、ニューヨーク州の約200万世帯に電力を十分供給できる3.3ギガワットの発電力になり、この地域の洋上風力発電の今後にとっての目標になると両社は述べている。

 また、SBMTの再開発により年間1000人余りの新たな雇用も生み出すことになると両社は予想している。

☆フィンテックのソーファイ 金融クラウドソフト開発のテクニシス買収を完了

 融資仲介サービスの新興フィンテック、ソーファイ・テクノロジーズ(NASDAQ:SOFI)は3日、クラウドベースで金融機関向けソフトウエアを開発するテクニシスの買収を完了したと発表した。

 ソーファイが2020年に買収したガリレオとテクニシスの技術を合わせることで、「最高級の」ワンストップ金融サービスの提供を推進するとしている。現在利用しているサードパーティーの中核システムをテクニシスの運用するシステムに移行することで、開発を加速し、さらに現状に即したプラットフォームを運用できるようになり、約350万の利用者により個別化したサービスを提供することになるという。

 ガリレオとの統合により、2023年から25年にかけて7500万ドル~8500万ドルの費用が削減され、その後は毎年6000万ドル~7000万ドルの経費削減につながると同社は予想している。

☆航空宇宙・防衛技術マーキュリー 戦闘機用多機能ディスプレイモジュールを受注

 航空宇宙・防衛技術を手掛けるマーキュリー・システムズ(NASDAQ:MRCY)は3日、大手防衛元請業者から戦闘機のコックピット多機能ディスプレイで用いるアクティブマトリックス型LCDモジュールを740万ドルで受注したことを明らかにした。

 発注は2021年10-12月期(22年6月期第2四半期)に行われたもので、今後数四半期にわたり納入を予定している。

 マーキュリーの高解像度LCDモジュールは、迅速な切り替え速度や操縦士が動く目標物をはっきり視認して対応できる高い信頼性で業界ではよく知られている。

 この発表を受けて、マーキュリーの株価は3日終値が前日比4.66%高の68.91ドルとなった。

 ☆モトローラ・ソリューションズ、英ビデオ画像セキュリティ企業を買収

 通信機器メーカーのモトローラ・ソリューションズ(NYSE:MSI)は3日、クラウドベースでビデオ画像の安全性と分析を世界的に提供する英国のアバ・セキュリティを買収したと発表した。買収条件についてはまだ明らかにしていない。

 アバ・セキュリティが提供するクラウドベースの拡張性、安全性、柔軟性を備えたソリューションは、リアルタイムに可視化する強力な分析で企業の事業運営を最適化し、異常や脅威を検知する。

 モトローラのグレッグ・ブラウン会長兼最高経営責任者(CEO)は、アバを買収することで、顧客の進化するニーズに対応して事業活動の安全性と効率性を高める高度なビデオソリューションを提供できる好位置につくことになると述べた。

☆ベライゾン、各種ストリーミングサービスの一括管理サービスを発表

 米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ(NYSE:VZ)は3日の投資家向け説明会で、いくつものストリーミングサービスをまとめて管理できるプラットフォーム「プラスプレイ(Plus Play)」を発表した。

 プラスプレイでは、動画、音楽、ゲーム、フィットネス、ライフスタイルなどさまざまなストリーミングサービスから、目的に応じたサービスを見つけて購入し、管理することができる。このサービスの提携先としては、ネットフリックス(NASDAQ:NFLX)、ペロトン・インタラクティブ(NASDAQ:PTON)、WWインターナショナル(NASDAQ:WW)などの他、語学教育アプリのデュオリンゴ、コンサートライブ配信のVeepsなどが含まれる。さらに、ディズニープラスやHulu、ESPNプラスなどベライゾンがすでに提供している提携先サービスも利用できる。

 3月中に一部の顧客や取引先を対象に試験提供し、年内に提供範囲の拡大を予定している。

 ☆ノボ・ノルディスク 体重管理薬の売り上げ見通しを大幅引き上げ

 デンマークの製薬大手ノボ・ノルディスク(NYSE:NVO)は3日、同社の体重管理薬「Wegovy」(一般名:セマグルチド)が250億デンマーククローネ(約4280億円)の売り上げを生み出す見通しを示した。

 これは、同じくGLP-1受容体作動薬の「サクセンダ(Saxenda)」(一般名:リラグルチド)が昨年、60億クローネを売り上げたことに基づく推計で、2019年に同社が25年の予想とした売上高の2倍以上にあたる。

 サクセンダとWegovyは昨年、ノボ・ノルディスクに84億クローネ相当の売り上げをもたらした。Wegovyは米国での21年6月の発売後、当初の需要で供給不足に陥った。

☆バイオジェン アルツハイマー薬開発部門で人員整理

 バイオ医薬品企業アムジェン(NASDAQ:AMGN)は、アルツハイマー病治療薬「アデュヘルム」(一般名:アデュカヌマブ)の販売に失敗したため、アルツハイマー病治療薬開発チームの大半にあたる100人以上を解雇した。製薬業界ニュースサイト「エンドポインツ・ニュース」が伝えた。

 アムジェンの幹部が同サイトに語ったところでは、アルツハイマー薬営業チームの3分の2とアルツハイマー薬分野のチームリーダー全員が解雇された。同社は声明で、経費削減を行うことで、年間およそ5億ドルを節約することになるとの見通しを示し、その一環として米国内の一部職員に役職が失われたことを通知したと述べた。

 バイオジェンは昨年12月、薬価と明確な効果がないとの不満を受け、アデュヘルムの価格を半分に値下げした。

 米メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)は今年4月、アデュヘルムの保健適用範囲についての最終判断を予定している。