・エンパイア・ファイナンシャル・リサーチのエンリケ・アベイタ氏は、米制服レンタル最大手のシンタスに押し目買いの妙味があるとみている。
・シンタスは、2020年に好調に株価を伸ばしてきたが、11月に過去最高値をつけてからは軟調に推移している。
・新型コロナウイルス感染症が再び拡大したことを受け、業績予想を見送ったことが投資家に嫌気されたようだが、シンタスの事業を考えると、これは過剰反応だと思われる。
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米制服レンタル最大手のシンタス(NASDAQ:CTAS)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的流行)を背景とした衛生管理の需要を受けて、2020年は好調に株価を伸ばした。前年比での株価上昇率は引き続き17.58%と高水準だが、年初来では6.02%安とやや軟調に推移している。
店舗や会社の入り口やトイレが汚れていると、顧客は足を向けようとはしない。ある調査によると、トイレが汚い建物は避けるという回答が95%を占めている。
シンタスが100万社以上の企業を顧客に抱えている理由は、安全な清潔を保証するその徹底したサービスにある。
シンタスは清掃サービスの他に、建物が清潔で日常業務で求められる厚生面での規制を確実に守るよう、安全指導と規則教育の訓練コースも提供している。
シンタスの清掃スタッフは、定期的に顧客の施設を訪問して、トイレを徹底的に洗う。細菌やしつこい汚れを落とす化学処理を行い、すぐに使えるよう全ての備品をタオルで拭き上げる。この化学処理は特許を取得している。
また、制服や玄関マット、清掃用モップ、トイレ用品、救急箱セットなどのレンタルや販売も行っている。
米国での制服レンタル市場でシンタスが占めるシェアは31%で首位となっている。制服レンタル・付属品部門が同社の売上高の8割近くを占め、残りを応急処置サービス部門と安全対策サービス部門がそれぞれ1割程度ずつ占めている。
顧客は小規模事業者から数千人規模の大企業まで幅広く、米国だけでなくカナダや中南米、欧州、アジアと世界各地に広がっている。
さらに、総売上高の1%以上を占めるような顧客はないので、顧客を1社失ったとしても影響は少なく、キャッシュフローの見込みがつけやすい。
シンタスは、これまでも着実に成長してきた。過去51年間において、49年にわたり売上高と1株利益(EPS)が拡大している。過去10年間にEPSは二桁の伸びを示し、本業の売上高は毎年5~7%増えている。さらに、36年連続で年間配当を増やしている。
昨年は、四半期決算で4回ともEPSが市場予想を上回った。直近の9-11月期(第2四半期)決算では、EPSが市場予想の2.18ドルを上回り2.62ドルとなった。その前の6-8月期(第1四半期)は、予想の2.16ドルに対し実際は2.78ドルを計上した。
好調な業績を手掛かりとして、シンタスの株価は昨年11月にザラ場で369.20ドルの過去最高値をつけたが、今年1月7日には、355ドルから325ドルまで急落した。
COVID-19の感染拡大が再び勢いを増し始めたため、シンタスは12-2月期(第3四半期)の業績予想の発表を見送ったのだ。米国内での感染防止規制が強化され、事業が落ち込む可能性があるためだ。
これまでの記録的に好調な決算が続かないとみた投資家が、決算発表を待たずに同社の株を売ったようだ。
しかし、業績予想を見送っただけで10%近く売り込むのは、過剰反応ではないだろうか。
テクニカル面でみても、過去10年間、相対強度指数(RSI)が30を下回った場合、シンタスの株価はその10日後、30日後、90日後に上昇している。
シンタスの事業は、十分成長し続ける余地があり、株価はすぐに回復すると考えられる。
北米には1,600万社の企業があり、清掃サービスで業界首位のシンタスの顧客企業は「わずか」100万社にすぎず、今後数年間でさらに成長する余地がある。しかも、総売上高の多くを占める制服レンタル事業は、拡大しやすい事業だと言える。
シンタスの発行済み株式は、過去10年間で1億4,700万株から1億500万株まで自社株買いで減っている。しかも、同社取締役の大多数が純資産の大半を握っている。
シンタスの株価は、1月20日の終値が332.19ドルだった。アベイタ氏は340ドルまでの押し目買いを推奨している。