アップル(NASDAQ:AAPL)が自動運転車の開発を推進させ、2024年の乗用車製造開始を目指している、とロイター通信が21日、関係者の話として伝えた。
この動きが電気自動車(EV)大手のテスラ(NASDAQ:TSLA)に及ぼす影響について、ベンチャーキャピタル、ループ・ベンチャーズのジーン・ミュンスター氏が早速分析リポートを出した。
ミュンスター氏は「アップルが自動車を発表しても、テスラにとって根本的なリスクとなることはほとんどないと思う」という。現在、EVは自動車販売台数の3%を占めているにすぎず、今後5年間で30%に迫る程度だと同氏は予想している。
その5年間にテスラは世界のEV市場で3分の1程度のシェアを占め、残る3分の2のとり合いになるとみており、アップルの自動運転車が及ぼす影響は従来の自動車メーカーの方が大きいだろうという。
テスラの株価に対する影響としては、まず当面については、テスラに投資している投資家が新たなリスク要因を織り込むため、株価を圧迫する可能性があるという。この影響は数カ月で落ち着く公算が大きいとしている。一方、長期的にはアップルの話題が23年以降、テスラに対する投資判断にいくらかマイナスの影響を与えるだろうとみている。
一方、アップルが今後、どのように自動運転車の開発を進めるかについては、1)アップルブランドの乗用車製造、2)自動運転ソフトウエアを自動車メーカーにライセンス販売、3)テスラを買収する、の3つの可能性を挙げている。ただ、3)については、5年前ならば可能性があったが、両社がデザインに強いこだわりをもっているので、最強の組み合わせではあるが「夢物語」だとしている。
1)の「アップルカー」あるいは「iカー」の製造については、14年に立ち上げた「プロジェクト・タイタン」を19年に縮小しており、このチームが現在、ハードウエアよりもソフトウエアやAI(人工知能)の開発に重点を置いていることを指摘している。開発方針がまだ定まっていないのではとみている。
2)のソフトウエアのライセンス販売については、自動車そのものからアップル色が失われる点にアップルにとっての抵抗感があると指摘している。
-0-