暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格が3日から緩やかに反発上昇した背景には、この暗号資産特有の設計に一因があるかもしれない。
中国当局は6月、暗号資産(仮想通貨)取引の取り締まりを強化し、同国での暗号資産マイニング(採掘)を事実上すべて禁止した。これを受けて、マイニングの際に必要な演算速度を表すハッシュレートが落ち込み、ビットコインに代表される仮想通貨の価格も急落した。
Blockchain.comのデータによると、全世界のハッシュレートは5月14日に統計開始以来のピークをつけたが、7月1日時点では約半分にまで落ち込んでいる。
ビットコインは、およそ10分ごとに新しいブロックを生成してブロックチェーンにつなぎこむよう設計されているが、稼働するマイナー(採掘業者)が激減したため、6月末には生成に
20分以上かかるようになった。
あまり注目されていないが、ビットコインには、ハッシュレートの変化に応じてマイニングのアルゴリズムを自動的に調整する難易度調整と呼ばれる仕組みがある。2016ブロック毎(およそ2週間に1回毎)にハッシュレートを確認し、ハッシュレートが上がっていれば難易度を高め、下がっていれば難易度を下げて、ブロックを生成する頻度を約10分に1回になるように調整する。
3日に2016個目のブロックが生成され、マイニングの難易度が28%下方修正された。これはビットコインにとって過去最大の難易度引き下げにあたる。この難易度調整は広く予想されていたものなので、週末にかけての相場反発の一因と断じるわけにはいかないが、何かしらの関係はありそうだ。
中国のマイナーは、拠点を世界各地に急いで移しており、ビットコインに対して強気な投資家は、数カ月中にハッシュレートが以前の水準を回復するとみている。
ビットコインは6月22日に312万円台まで下落し、先週末に360万円台から396万円台まで回復して、現在は386万6000円前後で推移している。
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