ロンドン証券取引所(LSE)グループ傘下の株価指数・金融情報サービス会社、FTSEラッセルが9月20日、ラッセル2000種指数に最近新規株式公開(IPO)を行ったばかりの62銘柄を加えた。

 ラッセル2000種指数は、小型株2000銘柄で構成され、小型株指数ファンドの指標となっている。小型株は通常、大型株よりも値動きが荒くリスクが高いため、大きな投資収益を狙う投資家に人気がある。

 今回の銘柄追加では、7月1日に再上場を果たしたドーナツチェーンのクリスピー・クリーム(NASDAQ:DNUT)や5月26日に上場した新興フィンテック企業のフライワイヤー(NASDAQ:FLYW)が注目されるが、がん治療開発に特化したバイオテック企業が数多く加わっている。その顔ぶれを以下に紹介する。

 デイ・ワン・バイオファーマシューティカルズ(NASDAQ:DAWN)は、遺伝的に定義されるがんの治療法を開発しており、6月3日のIPOを通じて1150万株で1億8400万ドルを調達した。主力製品候補の「DAY101」は、再発性または進行性低悪性度神経膠腫(グリオーマ)の治療薬として第2相臨床試験を実施している。

 ヤナックス・セラピューティクス(NASDAQ:JANX)は、6月11日に1300万株のIPOを通じて約2億2290万ドルを調達した。独自の腫瘍活性T細胞誘導(TRACTr)プラットフォームを活用して次世代がん免疫療法の開発を進めている。同社で最も開発が進んでいる「PSMA-TRACTr」は転移性去勢抵抗性前立腺がん、「EGFR-TRACTr」は大腸がんについて臨床試験を開始できる段階になっている。

 ライエル・イミュノファーマ(NASDAQ:LYEL)は6月17日に2500万株のIPOを行い、約4億2500万ドルを調達した。滑膜肉腫などの固形腫瘍に対する発症前段階のT細胞療法製品を開発している。同社は英グラクソ・スミスクライン(NYSE:GSK)と提携している。

 センチュリー・セラピューティクス(NASDAQ:IPSC)は、固形腫瘍および血液悪性腫瘍に対する同種細胞療法を開発している。6月22日のIPOにおいて1213万2500株で総額約2億4270万ドルを調達した。

 サイティア・セラピューティクス(NASDAQ:CYT)も、6月22日のIPOにおいて740万株で総額1億3320万ドルを調達した。自己免疫疾患に対する合成致死性を利用した分子標的療法やがんに対するDNA修復による療法を開発している。主力候補製品「CYT-0851」は固形腫瘍および血液悪性腫瘍に対する第2相臨床試験の年内開始を予定している。

 モンテ・ローザ・セラピューティクス(NASDAQ:GLUE)は、6月28日に1170万株のIPOで2億2230万ドルを調達した。独自の標的タンパク質分解誘導分子(MGD)プラットフォームを利用してがん領域全般を対象とする創薬を手掛けている。

 エラスカ(NASDAQ:ERAS)は、7月16日に1875万株のIPOを通じて約3億4500万ドルを調達した。RAS/MAPK増殖シグナル伝達経路由来のがん治療開発に特化しており、主力候補薬「ERAS-007」は固形腫瘍、非小細胞肺がん(NSCLC)、大腸がんの単剤治療薬として第2相臨床試験を行っている。

 カリブー・バイオサイエンス(NASDAQ:CRBU)は、血液悪性腫瘍や固形腫瘍の形質転換ゲノム編集同種異系細胞療法の開発に注力しており、7月27日に1900万株のIPOで3億400万ドルを調達した。主力候補製品「CB-010 」は、再発性・難治性B細胞非ホジキンリンパ腫のCART細胞療法として第1相臨床試験を行っている。

 ヌバレント(NASDAQ:NUVL)は8月2日に約1060万株のIPOを行い、総額1億9060万ドルを調達した。脳転移やNSCLCを対象とする分子標的薬を開発しており、主要候補薬「NVL-520 」は年内の臨床試験開始を予定している。
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