JPモルガンは7日の顧客向けリポートで、暗号資産(仮想通貨)を代表するビットコインがこのところ急反騰している背景には、金よりもこの「デジタルゴールド」の方が良いインフレヘッジ手段だとする考え方があるようだと指摘している。

 金からビットコインへの資金移動を受けて、暗号資産の時価総額に占めるビットコインのシェアは、9月半ばにつけた41%の直近最低水準から45%近くに回復しており、これは「小規模の仮想通貨よりも(ビットコインを)機関投資家が選好していることを反映している可能性が高い」とJPモルガンは述べている。

 ビットコインは6日、日中に5万5000ドル台に乗り時価総額が1兆ドル規模に戻った。7日の取引では5万4200ドル近くに小反落したが、過去1カ月で約17.2%上昇し、この5営業日では25%近く急騰している。今後は今年4月につけた6万4788ドルの最高値を更新するとの見方を示す強気派もいる。

 一方、金投資を代表する上場投信(ETF)のSPDRゴールドトラストは、過去1カ月で下落しており、この1年間のリターンもマイナス水準にある。

 米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長が5日の議会公聴会で、(中国のように)暗号資産を禁止する計画はないと発言したことも、ビットコインにとって追い風となっているようだ。

 エルサルバドルがビットコインを法定通貨として採用したことにより、オフチェーン決済「レイヤー2」とそれを支えるライトニング・ネットワークが広がりを見せていることも、投資家のインフレ懸念の再燃と合わせてビットコインを押し上げる要因となっているとJPモルガンは指摘している。
-0-