ウクライナのフョードロフ副首相(デジタル転換相)は27日、「すべての主要暗号資産(仮想通貨)取引所にロシアの利用者のアドレス閉鎖を求めている。ロシアとベラルーシの政治家につながるアドレスを凍結するだけでなく、一般利用者を妨害することも重要だ」とツイートした。
この要請に対し、主要暗号資産取引所は応じていない。カナダのデジタルメディア、ヴァイスが報じている。
コインベース(NASDAQ:COIN)の広報担当者は「現時点では、ロシア人のアドレスに関係しているコインベースの取引すべての全面禁止は実施しない。その代わりに、制裁対象となった個人や組織に関係するアカウントと取引を封鎖するなどの、実施されているすべての制裁措置の実施は続ける」との声明を出した。同社は世界の経済的自由を高めることを使命としており、一方的に全面禁止を行うと、自国政府が民主的な隣国を攻撃した結果として通貨の歴史的な不安定化に耐え忍んでいるロシアの一般市民を痛めつけることになるとしている。
クラーケンのジェス・パウエル最高経営責任者(CEO)は「この(副首相の)要請の論拠」は理解できるが、法的に要請されない限りはロシア人のアカウントをすべて凍結することはない、とツイートした。このような要請はビットコインの「自由主義的な価値」に反するものだとして、暗号資産は「平和のための武器であり、戦争のためのものではない」と述べている。
取引所最大手バイナンスの広報担当者はCNBCに対し、ロシアに対する制裁には従うが、「無実の数百万人の利用者アカウントを一方的に凍結する」要請には従えないとして、全面禁止は暗号資産の存在理由を無視する行為だと語った。
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