米連邦取引委員会(FTC)はアマゾン・ドット・コム(NASDAQ:AMZN)が計画している84億5000万ドルでの映画製作大手メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)の買収について、反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)違反の疑いでの提訴に備えていると伝えられている。

 FTCは、専門家の証人を採用するなどの選択肢を検討しており、買収阻止を進めるならば今後数週間以内に決断するとみられる。事情に詳しい関係者から得た情報として、テクノロジー業界のニュースサイト、「ジ・インフォメーション(The Information)」が28日、伝えている。

 2月上旬には企業の合併・買収(M&A)などを扱う報道サイト、「ディールリポーター(Dealreporter)」が、このアマゾンによるMGM買収はFTCによる詳しい調査が続いているため、まとまるには時間がかかる公算が大きいと報じた。

 アマゾンがMGM買収を発表したのは昨年(2021年)5月26日で、FTCはこの買収に関する調査を7月9日に開始した。

 1924年創業のMGMは、人気スパイ映画「007」シリーズや「ロッキー」、「ロボコップ」などの多数の映画作品の他に、「ピンクパンサー」など1万7000本ものテレビ番組も手掛けている。これらがアマゾンの動画配信サービス「プライム・ビデオ」に取り込まれて5万5000以上の作品数をアマゾンが抱えると、動画配信大手ネットフリックス(NASDAQ:NFLX)の有する2万近くの作品数をもはるかに圧倒することになる、とこの買収に反対する声がある。

 この買収についてオーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は昨年12月、同国市場において競争を著しく阻害するおそれはないとして、計画を承認している。

 一方、欧州委員会には今年2月8日に申請し、第1段階の審査判定暫定期日は3月15日となっている。

[訂正]3月1日に「アマゾン、MGM買収に対する米独禁当局の提訴に備える」として配信いたしましたが、事実誤認がありましたので訂正いたします。
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