ロシアのウクライナ侵攻に対して欧米諸国を中心にロシアに対する厳しい金融・経済制裁が科される中、エネルギー禁輸措置は取られていないにもかかわらず、ロシアの石油輸出量は3分の2に減っている。エネルギー業界の情報分析をEnergy Intelligenceが2日、リポートした。
ウクライナ侵攻以前のロシア政府の統計資料によると、同国は日量470万バレルの原油と日量280万バレルの精製製品を輸出している。だが、船積みのデータやトレーダーからの情報に基づく概算では、およそ日量150万バレルの原油と日量100万バレルの石油製品が市場に出回っていない。ロシアのバルト海や黒海、そして極東の港から出荷される原油は、買い手が見つからずにいる。黒海の主要港ノボロシスクでは、原油の動きがまったく見られないという。2日に行われたウラル産原油の3月出荷分640万バレルについての入札には応札がなかった。
市場関係者によると、欧州の精製事業者はウラル産原油に手を出したくないようだ。平時であれば中心的な買い手となるフィンランドのネステやスウェーデンのプリームは、ロシア産原油の購入を今月は見送る可能性があるという。ポルトガルのガルプは2日、ロシア産およびロシア企業が扱う石油製品の直接的ないし間接的な購入は行わないと発表した。
石油商社や精製企業は、ロシアに対する制裁措置に反することなく、また社会的評価を傷つけないように慎重に行動している。欧州のトレーダーはこれを「自主制裁」と評し、「この自主制裁はしばらく続くだろう」との見方を示した。
JPモルガンのアナリストは、この自主制裁が続くならば、原油価格は年末までに1バレルあたり185ドルまで上昇すると予想している。
3日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では、原油先物WTI期近(4月物)先物が一時1バレルあたり116.57ドルまで上伸した。その後、イラン核合意の早期復活観測などで持ち高調整が入り、日本時間4日午前6時50分現在、前日比2.41%安の107.94ドルをつけている。
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